こんにちは!ハニーです!
前回の記事では、ボランチで活躍するためには?必要な能力3選についてお話をさせていただきました。
上記の記事では、ボランチとして活躍するためには、「自分自身の体の状態(体格、俊敏性等)から自身のプレースタイルを理解し、そのプレースタイルからボランチというポジションに生かせる技術を1つ見つけ、磨き上げる」 という結論をご紹介いたしました。
そして、ボランチの役割という物も抽象的ではありましたが、攻撃時、守備時に分けて箇条書きでリスト化させていただきました。
今回の記事では、 ボランチとして、攻撃時の役割は何かについてより具体的に皆さんにご紹介できたらなと思っています!
ぜひ、この記事を読んでいただき、日本のサッカー界、または世界で活躍するような選手になれるよう、何か一つでも参考にしていただければと思います。
※この記事では主に4-4-2のシステムに基づいたボランチの動きを解説しています
・ボランチの基礎を学びたい方
・お子さんがボランチとしてサッカーをしている親御さん
・中学、高校年代のボランチプレイヤー
目次
ボランチとしての攻撃時の役割とは?
プレイヤー
攻撃の際、ボランチにはどんな役割があると思う?
ボールを受けてパスを散らしたり、スルーパスをしたりする事かな?
プレイヤー
そうだね、もちろんどちらもボランチとしてとても大事な役割(仕事)だね!
だけど、ボランチというポジションにはもっとこだわらなければならない役割(仕事)があるんだ!
へー!ボランチは奥が深いんだね、、、
プレイヤー
そうなんだ!細かいプレーや動きまで気を遣えるボランチの選手は
間違いなく活躍するし、試合も楽しくなるよ!
ボランチについてもっと知りたい!
プレイヤー
では細かく説明していくよ!
ビルドアップ時のポジショニングの重要性
まず、ビルドアップという言葉を知っていますか?
ビルドアップとは、英語で「組み立て」という意味を表しています。
相手のゴールを奪うために、自陣バックライン(最終ライン)からボールを繋ぎ、相手の守備形態を崩していく事を目的に行われています。
このビルドアップ時にボランチとして求められる役割(仕事)というのは、絶妙な立ち位置です。
この絶妙な立ち位置を徹底して意識し、90分間プレーをする事ができれば、間違いなくチームに貢献をする事ができます。
では、絶妙な立ち位置を取る理由とはなんでしょうか?
結論は、ボランチが絶妙な立ち位置を取ることによってビルドアップの本来の目的である、「相手の守備形態を崩す」事に大きく繋がるためです。
相手の守備形態を崩す方法はいくつもあります。サイドを個人で打開し数的有利(1)を作る事や、中央突破で相手の真ん中のラインを崩す事、裏のスペースにボールを送り、相手の守備体勢を後ろ向きにする事などなど、、。
相手の守備形態を崩す回数が増えれば増える程、それに比例してゴールを奪うチャンスというものも増えていきます。
チームのコンセプトにもよると思いますが、サッカーの基本としては相手の真ん中のエリアを打開する事が最もチャンス構築には有効です。なぜなら、中央を打開する事でサイドにボールを振る事や、ゴールへ直結するスルーパスを出す事などチャンスに繋がりやすい選択肢をより多く増やす事ができるためです。
では、本題のビルドアップ時にどのような立ち位置をボランチとして取れば相手の守備形態を崩せるのか。図を見ながら解説していきます。
※(1)数的有利:相手チームの人数より、自チームの人数が多い状況
■図の説明
青:自チーム
赤:相手チーム
上記の局面は、自チーム青色がビルドアップを始めた状態で、最終ラインでボールを繋ぎ、手前センターバックがボールを保持している状況です。赤色のフォワードは、センターバックの右側を切りながらプレスにきています。
ここで注目してほしいのが、〇印をつけたボランチ2枚です。
Q.このボランチのポジションニングは正しいでしょうか?考えてみて下さい。
A.結論は、ビルドアップ時では好ましくないポジショニングの取り方です。
理由を説明していきます。
上記のようにボランチ2枚が同列で並びながらポジションを取ってしまうと、相手は前向きにプレスをかけるだけなので、守備形態が全く崩れません。また、ボールを受けてもバックパスでもう一度やり直すケースが高いため、効率良く相手の守備形態を崩す事には繋がりません。
※上記の状況の場合、サイドバックにバックパスをするとまた状況が変わるので有効です。
では、どのようなポジションを取れば良いのか。下の図を見てください。
先ほどと違う点は、ボランチのポジショニングが横ではなく、縦の関係になっている点です。
縦の関係になる事で、相手の守備形態のバランスが少し崩れたのが図を見てわかると思います。
■縦関係になる事によって生じるメリット
①相手の守備形態のバランスが崩れる
└1枚目の図では、相手の守備形態はフラットな状態にある事から、自チームのボランチにボールが入っても、前向きに守備ができる状態にありました。しかし、2枚目の図のように縦の関係でポジションを取り、3枚目の図のように遠いサイドのボランチにボールを入れた状況では、×印を付けた4人の赤色選手が後ろ向きに守備をしなければならなくなり無効化され、守備形態のバランスが崩れているのがわかります。
こちらは一例ではありますが、縦関係のポジショニングに修正するだけでこれほどまでに優位に立つことができるのです。
②パスコースとスペースの確保ができる
└横並びの状態で2枚同時にボランチがセンターバックからボールを受けようとすると、相手のボランチは前向きでプレスをかける事ができるため、ボールを受けようとしている人全員にマークが付いている状態になってしまいます。いわゆるパスコースがなく、スペースもないという状態です。これをよく「重い」と表現する事があります。
しかし縦関係にポジションを取る事により、下の図のように一人分のスペースがなくなるため、その分大きく真ん中のスペースを使う事ができます。このスペースを上手く活用し、相手から1m離れてボールを受ければ前を向く事ができ、裏へのパスやサイドに散らす事もできます。
また、自身がおとりになり、もう一人のボランチがボールを受ける事ができれば、相手の守備形態を崩す事にも繋がります。
※下の動画は、①②に書いてある事を意識しながら見てみて下さい。
③ボールへの関わり方の幅が広がる
└2ボランチを縦関係にする事により、ボールへの関わり方の幅が広がります。
上記でもお伝えしているように、縦関係になる事で、スペースとパスコースの選択肢が増え流動的にボールへ関わる事ができるため、自然とボールの関わり方の幅が広がります。
例えば、遠いサイドのボランチにボールが入れば、下の位置にポジションを取りボールを受ける事で、前向きにボールを運ぶ事ができ、パスコースの選択肢が一気に増えます。
もちろん他にもシチュエーションによって様々なアイデアが出てくると思いますが、ここでお伝えしたい事は、攻撃時ボランチというポジションはなるべくスペースを空ける事を意識してポジション取りをしてほしいという事です。スペースが広がるという事は、グランド全体を大きく使用できているという事なので、相手もそれによって守備がしにくくなります。
どのようなポジションを取れば相手が嫌がるか、相手の守備形態が崩れるか。
常に考えながら細かなポジション修正を行っていく事が、ゴールを奪う事へ繋がるのです。
サイドバックにボールが入った際のポジショニング
ゴールキックやバックラインで余裕ができ、ビルドアップ(組み立て)を開始すると、まずはボランチにボールを当てたい所ですが、相手のプレスのかけ方が巧みだとサイドへと追いやられるパターンが良く出てきます。
サイドに追いやられ、自チームのサイドバックにボールが入った瞬間のボランチのポジショニングがとても重要となります。
Q.皆さんはサイドバックに入った瞬間ボランチはどのポジションを取れば良いと思いますか?
A.サイドバックの横にポジションを取り、近寄りすぎない
└下の図のようにサイドバックにボールが入った瞬間に横にポジションを取りパスコースを作ります。
横にポジションを取る理由としては、、、
①サイドバック選手のパスコースの選択肢が増える
②横に入る事で、ボールロスト(ボールを失う事)を防ぐ事ができる
①サイドバック選手のパスコースの選択肢が増える
└この局面で横のポジションにボランチがいない場合、基本はサイドバックの選手が前を向き、前方にボールを送るか、センターバックにもう一度ボールを戻すかの選択肢となります。
しかし、相手のプレスが巧みかつ速ければ速いほど、サイドバックの選手の余裕がなくなり、ボールを奪われてしまう可能性が高くなります。この位置でボールを奪われるととても危険です。
サイドバックの選手に余裕を持たせるためにも、パスコースを多く作ってあげる事がとても重要なのです。横にポジションを取れば、前方、横、後ろと最低でも3つの選択肢ができます。
パスコースの選択肢が増えれば、相手からしてもどこにパスを出してくるか予測が難しくなるため、ボールを取られる確率は減っていきます。
②横に入る事で、ボールロスト(ボールを失う事)を防ぐ事ができる
└①でパスコースの選択肢が増えるというお話をしました。
パスコースの選択肢が増えるという事も、ボールロスト防止に繋がる要因の一つですが、さらにボランチが横にポジションを取る事でのメリットがあります。
ボランチの選手が横にポジションを取ると、相手のフォワードは上の図のように、少し位置が下がります。そうすると空いてくるポジションはどこでしょうか。
そう、センターバックへのパスコースです。しかも、パスコースができるだけではなく、センターバックが深く位置を取れば相手から離れてボールを受ける事ができるため、余裕を持ってまたビルドアップ(組み立て)を行う事ができます。
上記を実現させた要因は、やはりボランチが横のポジションを取り相手フォワードの位置を下げさせた事にあります。これを意図的に考え、ポジショニングを取る事ができれば、サッカーIQが高いプレーが可能となっていきます。
逆に、相手フォワードが自チームのセンターバックのパスコースを切ったらどうしますか
この場合は、逆に横のポジションを取ったボランチの選手のパスコースが空くので、ボランチの選手はボールを貰いやすくなります。
このように、サイドバックにボールが入った瞬間、ボランチの選手が横にポジションを取るだけで安定したパス回しができるようになるのです。
適切なタイミングで縦パスを入れる
ボランチから正確な縦パスを前線の選手に入れる事は、とても重要で必須なスキルです。
ボランチから前線の選手(トップ下やフォワード)に縦パスを入れる事のメリットとしては、、、
①最短でゴールに近づく事ができる
└やはり横パスを繋ぐよりも、縦にパスを上手く入れる事ができれば、それだけ速く攻撃は前進できます。サッカーはゴールを奪う事が目的で、ボールを繋ぐ、保持する事が目的ではありません。
効率良くゴールを奪うためには、やはり縦パスを入れていかなければならないのです。
②相手守備陣の陣形を崩すことに繋がり、サイドにスペースが出来る
└ ボランチの選手がピッチ中央でボールを受けた際、サイドばかりにボールを散らしていると相手は前方方向にプレスをかけるだけでよいため、相手側からしたら何も怖くはありません。しまいには、相手に距離を徐々に詰められボールを取られてしまう可能性さえも出てきます。
では、縦パスを入れると、なぜ相手の守備陣の陣形を崩すことができるのか。
縦パスを入れる事により、相手の守備陣は中央にぎゅっと集まります。なぜなら、相手が中央を突破してきた際にぽっかりスペースを空けていたら、そのまま打開されチャンスを作られてしまうからです。
上記の理由から縦パスを入れる事で相手の守備形態は中央に寄る事になるのですが、中央によると空いてくるのがサイドのスペースです。
よく縦パスを入れ、サイドに振ってクロスを上げ、ゴールするといったシーンがJリーグや海外の試合でもありますが、該当のプレーは最初の縦パスがカギとなっているんですね。
上記のように縦パスを入れる事には、相手の守備形態を揺さぶり(陣形を崩す)スペースを作り出す役割があります。
じゃあ、縦パスをどんどんいれていけばいいんだね!
プレイヤー
縦パスを入れるにも工夫が必要なんだ!
■縦パスを入れるための工夫
相手守備陣も、ピッチ中央を打開されないために縦パスのコースを塞ぐように守備をしてきます。
守備の形が整っているのに、縦パスを狙っても、もちろんボールをカットされてしまいます。
そんな時に重要な事が、、、
①まずサイドにボールを散らす
②縦パスを入れる際は、体の向きに注意する
この2点が重要です。
① まずサイドにボールを散らす
└縦パスが入らないという事は、相手の守備形態が中央に寄っている状態です。
この中央に寄った守備を崩すためには、まずサイドにボールを散らしてみて下さい。
そうすると、相手の守備形態はどうなるでしょうか。
サイドにボールを散らす事で、中央に寄っていた守備陣がボールサイドに移動をしていきます。
ピッチサイドに陣形が寄る事で、中央になかったスペースが徐々に空いてくるのです。
そして中央に空いたスペースに縦パスを入れる事ができれば、グンっとチャンスは広がります。
※あくまでこれは一例です。他にも縦パスを入れるための戦術は無数にあります。
ここで伝えたい事は、1本1本のパスにも目的を持ってプレーし、常に考える事を習慣付けてほしいという事です。
相手の守備形態を崩し縦パスを入れる、意図を持ったパスをするという事を解説している動画がありましたので、貼らせていただきます。ぜひ、ご覧ください!
②縦パスを入れる際は、体の向きに注意する
└縦パスを入れる際に、パス方向に体を向けながらパスを出すと、相手に読まれてしまいます。
サッカーというスポーツは騙しあいの連続です。出すよ出すよでパスを出したら、簡単にパスカットをされてしまいます。
縦パスを出す際は、一度サイドにパスを散らすような素振りを見せてください。
上記のような素振りを見せる事で、相手は一瞬サイド方向にほんの少し移動します。この瞬間が、縦パスを入れるタイミングです。
この一瞬の相手の移動を見極められるかどうかで、プレーの質にも関わってきます。
いかにパスコースを読まれずにパスを出すかが、ボランチというポジションには特に必要な技術となります。
※状況によっては、縦パスを出す振りをしてサイドに散らすなどのプレーもありますが、あくまでここでは縦パスを入れるための一例を提示しています
このように縦パス一つ入れるためにも、多くの駆け引きが行われているのが分かると思います。
考えてプレーしている選手と何も考えず淡々とプレーしている選手では、成長に大きな差が生まれてきます。何度もお伝えしますが、一つ一つのプレーに意味を持たせ、練習や試合に取り組むようにしましょう!
↓縦パスを入れる際の体の向きに注目して頂きこちらの動画を見ていただければと思います。
ぜひご覧ください!
最後に
今回の記事では、攻撃時のボランチの基本となる役割を3つほどご紹介いたしました。
サッカーは状況状況によって、無数のプレーが存在します。
無数にあるプレーをすべて解説する事はできないため、一例を挙げて解説をさせていただいておりますがいかがでしょうか。
これからの記事では、より細かいプレーの解説を行い、一人でも多くのサッカー少年の役に立てればと思っています!
次回は、攻撃時のボランチの役割【後編】について、記事を書かせていただきますのでぜひ読んでみて下さい!
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